
こんにちは、デザイナーの有馬です。
2月6日(金)に開催されたデザインセミナー「Design Boost in Fukuoka -2026 Spring-」に参加しました。
Design Boost in Fukuoka -2026 Spring-
https://db2026-spring.peatix.com/view
プログラム概要
- AI時代のWeb制作生存戦略 クライアントの「信頼」をつかむ技
- クライアントとクリエイターがGOODな関係で共創するためのマーケティング戦
- 企業のブランド価値をビジュアルで表現するトゥモローゲートのデザインプロセ
- なぜあなたのバナーでは売れないのか?押さえておくべき広告デザインのNGポイン
- LT①:伝わり方のフォーカスを広げるキーワード
- LT②:なぜあなたの資料は響かない?デザイナーが伝えるストーリーテリング
福岡での開催は2回目ということもあり、会場には前回も参加されていたリピーターの方も何名かいらっしゃいました。
今回はマーケティング寄りの内容のため、デザイナー以外にも企画制作やプロダクト開発をされている参加者の方も多く見受けられました。
※掲載しているスライドは投稿許可をいただいております。
なぜあなたのバナー広告では売れないのか
今回のセミナーでデザイナーとして特に印象的だったのが、株式会社シャーロック・北幸一郎さんによる「売れるバナー・売れないバナー」のお話でした。
これまで80億円分のネット広告を運用されてきた北さんいわく、売れるバナーには様々な要因があるものの「売れないバナーは割とパターンが決まっている」と感じられているそうです。
その「売れないバナー」の特徴がこちらです。
- 要素が多すぎる
- どこのビジネスか分からない
- 知られていない固有名詞
- 本題までが長い
- セーフティゾーンを無視
- ひとつしか作らない
要素が多すぎる
SNSでもこのような広告はよく見かけるので意外だと思われるかもしれませんが、要は「あれこれ詰め込みすぎて、何を伝えたいかが分からない」ということです。
メッセージは「何を言うか?」と「どう言うか?」が大切であり、「何を言うか?」は一度に多くても2つまでにとどめておく方が良いのだとか。
確かに参考画像を見ると、「フレッシュ学習塾」と「個別指導」という文章は「個別指導の学習塾」など一つにまとめれそうですし、講師の情報はホームページを見た時にチェックするような要素なので、広告バナーの段階では必要ない気もします。知名度のある人であれば、写真だけでも十分伝わりますしね。
ひとつしか作らない
こちらは弊社でもよく行っていますが、ひとつのバナーでもコピーを変え、複数の切り口で訴求するというものです。
先ほどのバナーの要素を分けて作られていることが分かります。
こうする事で、実績を重視する人、個別指導塾を探している人、まずは無料体験をしたい人など、様々なニーズによりピンポイントで刺さりやすくなります。
一瞬しか見られない広告だからこそ、切り口を絞ることで何を伝えたいかがより明確になりユーザーに伝わりやすくなります。
ブランドアーキタイプ
次に個人的に興味深かったお話が、トゥモローゲート株式会社のWEBデザイナー・平野亜矢美さんによる、ブランディングデザインの制作フローのお話でした。
トゥモローゲートさんはブランディングの会社なので、ブランド戦略(CI設計)をされているのですが、その中でも「ブランドアーキタイプ」という手法を使われているそうです。
私は初めて聞いたワードでしたが、ブランディング業界ではメジャーな手法だそうで、ユングの心理学に基づいて12のキャラクターに分類したものだそうです。
アーキタイプを用いることでブランドに「人格」を持たせ、ブランドの個性がより明確になります。
MBTIを思い浮かべてみると分かりやすいかもしれません。「こういうタイプの人ってこんな人だよね」という性格の特徴的なものです。
世界的な企業では、例えばAppleは「創造者」、ディズニーは「魔術師」と言われています。
(参考:https://iconicfox.com.au/brand-archetypes/)
トゥモローゲートさんでは独自のアーキタイプを作られており、さらにブランドに複数のアーキタイプを持たせることもあるそうです。
たとえば「熱く挑戦的だけど、ロジカルな一面がある」「アウトローだけど伝統的」など、より深みのあるブランド設計ができます。
確かに世界的な企業ほどキャラクターが明確で、誰に向けて何を伝えたいか(どんな価値を売りたいのか)の軸が定まっていると感じます。
AI時代のWeb制作生存戦略
最後に、制作会社に勤める身として興味深かったのが、株式会社ディーゼロ・今村圭介さんによる、AI時代におけるWeb制作の生存戦略についてのお話です。
現代はネット検索の6割はサイトに訪れない「ゼロクリック」の時代になっているそうです。
特にGoogleのAI Overview(Google検索の結果をAIが要約する機能)が表示された際のサイトのクリック率は、1.76%から 0.61%へ、65%も急落しています。2026年にはサイトに訪れない割合が7割になる見込みもあるそうです。
「情報をざっくり知りたいだけ」の時は非常に便利な機能ですが、裏を返せば、AIが出す答えは「正解ではなくみんなの平均」であるということになります。
そしてAIが進むほど、データ化されない人間的な要素の価値が上がっていきます。
それは感情や文化的な文脈、狭い価値観、結果だけでなく「なぜ起きたか」という理由(Why)の部分などです。その中でも特に、人と人との関係性の中で価値が高いものが「信頼」です。
今村さんが実際に携わった実例のお話で、とある電力会社の案件のコンペがあった際に、現場を知るために、実際に自分も鉄塔に登ってみようとしたことがあったそうです。
実際は、あまりの高さに恐怖心から登れなかったそうなのですが、その体験を通じて、現場で働く職人さんのスキルや精神力の高さを身をもって実感したのだとか。
よく「現場に足を運ぶことが大事」と言われますが、鉄塔にまで登ろうと言い出したのは、コンペに参加した企業の中で今村さんだけだったそうです。
結果として登れなかったものの、その姿勢にクライアントが心を打たれ、コンペの予定だったにも関わらず、今村さんに案件を任せる事になったそうです。
現場に足を運び、自身の言葉で伝えたことが、クライアントとの深い信頼に繋がったという素晴らしいお話でした。
まとめ
前回のDesign BoostでもAIの話題が多かったのですが、今回は企画段階の内容も多く、第一線で活躍されている方々の制作事例をもとにした講義は、多くの学びのある濃い時間でした。
そして、今回は懇親会にも参加させていただきました!
参加者や登壇者の方々と直接お話でき、質問にも答えていただくなど、とても有意義な時間になりました。皆さまありがとうございました!
マーケティングと聞くと難しく思う方もおられるかもしれませんが、最終的には人の話なので、実はとてもシンプルなのではないかと改めて感じました。
