アクセシビリティカンファレンス福岡2024に参加してきました!
レビューが遅すぎて申し訳ありません。
開催されたのは2024年11月30日(土)。場所は警固神社社務所ビルとYoutubeでの配信でした。
今回も多くの人が参加する大きなイベントでした。
福岡のアクセシビリティの盛り上がりを感じれる貴重な場であると思います。
弊社もブロンズスポンサーとして協賛し、アクセシビリティに関するボードを作成・展示させてもらいました。
今回のセッションと私の聞きたかった事
今回は4名の方の登壇でした。
セッション1:田中みゆきさん「障害は乗り越えられるべき課題なのか?」
セッション2:坂巻舞羽さん「アクセシビリティをあたりまえにするまで」
セッション3:小谷野崇司さん「手話CG KIKIが繰り広げるインクルーシブ社会の実現」
セッション4:野田純生さん「選挙のアクセシビリティ」
今回特に僕が参加してよかったなと思ったのは実際にアクセシビリティを実装するにあたってのTipsが聞けたことだと思いました。
今回も前回同様「アクセシビリティとは何か」という話や「各社での取り組みや運用方法」のような話がありましたが、毎回その話ばかりでは先に進まないと感じていました。
そこで、「実際に何をすべきか、どうすべきか、どのようなことができるのか」という具体的な情報がまだまだ少ないため、そういった話を聞きたいと思っていました。
自分でアクセシビリティの勉強をしていても、WCAGなどのガイドラインに沿ってやれそうな対応から実装を試みていたものの「この実装でいいのか?コードは正しいのか?」や「この項目をクリアするにはどういう実装が必要なんだろうか」などというところの情報がなく、苦戦していました。
なのでアクセシビリティカンファレンスでも概要や障がい者との向き合い方だけでなく、実際に手を動かすときに参考になる話を聞けたらいいなと思っていました。
自分では気づけなかったことに気づける喜び
今回1番勉強になったのは野田純生さんの話にあったPDFの読み上げ機能についてでした。
そもそもWebサイトのアクセシビリティのことで頭がいっぱいだった自分にとって、PDFのアクセシビリティ対応は全く想像していませんでした。
しかし、PDFでもリーダー機能で読み上げることができ、読み上げる順番を指定できることに驚きました。
野田さんは実際に設定画面を見せながら説明してくださったので、大変勉強になりました。
Webサイトだけでなく、そのサイトに添付するPDFにもアクセシビリティが必要なんだと、自分では気づけなかったことに気づけた喜びがありました。
アクセシビリティで盛り上がっているのはWeb界隈だけではない。
先ほどのPDFのTipsは一番勉強になったと書きましたが、今回一番驚いたという意味では小谷野崇司さんの紹介された手話CGのKIKIの存在でした。
実際に人が手話をしているところを動画撮影するだけで、その動きに合わせてCGのキャラクターを動かして手話をさせることができるという技術でしたが、そのCGキャラのリアルさは目を見張るものがありました。
リアルなCGキャラがもはや一人格としてCG手話の普及活動の枠を広げていたことなど、私は知る由もありませんでした。
また最近のSNSの普及により、実際に人が手話を行う映像だと、俗にいう「顔バレ」で誹謗中傷の被害に遭ったりするケースもあるそうで、そういう面でもKIKIのようなキャラクターの活躍が期待できるとのことでした。
いずれは動的な機能として、たとえばWebサイトでテキスト部分を選択して、指示すればその部分をKIKIが手話で話してくれるような未来を見据えているという話にはワクワクしました。
私はWebのアクセシビリティのことばかり考えていましたが、アクセシビリティというのは、Web以外にも世の中のあらゆるものに必要で、各分野でアクセシビリティのために日夜努力と研究を続けている人たちがいることを知り、視野が広がり感銘を受けました。
まとめ
アクセシビリティはツールを制作する人の考え方に大きく左右されます。
「アクセシビリティに考慮するのなんて当たり前のことでしょう」と考える人と、「まあ、別に気にしなくてもそれほど影響ないんじゃないかな」と考える人では、作り出すものに大きな差が生じます。
少なくともアクセシビリティカンファレンスに参加する人は、前者寄りの考え方を持つ人が多いと思います。
そして、実際に参加することでさらに強く「アクセシビリティって当たり前のこと」と気づくことができるのではないでしょうか。
ただ、気づきを得て会社や日常の業務に戻ったとき、周囲の関心の低さや考え方の違いにモヤモヤすることもあるかもしれません。
ヨーロッパではついに2025年6月に「欧州アクセシビリティ法(European Accessibility Act、EAA)」が施行される予定です。
この法律は、オンラインショップを含むECサイトにも適用され、アクセシビリティに配慮しないウェブサイトに対して罰則が科される可能性があります。
この流れは近い将来必ず日本にもやってくると言われています。
アクセシビリティは「当たり前のことであり、無条件に保証されるべき人権の問題である」と登壇者の田中みゆきさんもおっしゃっていました。
厳しい言い方をすれば、アクセシビリティに配慮しないということは、無意識のうちに差別を助長しているのと同じことだと言えるかもしれません。
だからこそ、法整備が進み、アクセシビリティを「当たり前」にする動きが世界中で広がっています。
もし、この記事を読んで「ちょっと煽りすぎじゃない?」とか「なんだかピンとこない」と思う方がいれば、ぜひアクセシビリティカンファレンスに参加してみてください。
アクセシビリティの現状を知り、体感することで、もっと多くの人にとって利用しやすい世界づくりに参加するきっかけとなるのではないかと思います。