マークアップエンジニアの中村です。
この度、ウェブ解析士の資格に挑戦してみようと思います。
ウェブ解析というのはウェブサイトやスマホアプリを軸として定量的、または定性的なあらゆるデータを元にユーザーを理解し、その満足度を高める改善を促していくことで事業の成果に貢献する技術のことです。
イメージしやすいのはオウンドメディアのGoogleアナリティクスをみて、ユーザーの動きからサイトを改善したりする作業などになるかと思いますが、それ以外にもエンゲージメントやソーシャルメディアから電話着信本数まで多岐に渡ります。
現在リクトには「ウェブ解析士」と「上級ウェブ解析士」が1名づつ在籍しています。
よく制作の現場では「ディレクターはコーディングもできた方がいいのか」などという話が上がります。もちろんディレクターがコーディングをできた方が、手順や実現性や工数など、色々と判断材料が増えて、打ち合わせなども具体性がでるでしょう。また、コーダーがワイヤーからデザインも一貫して出来れば、組みやすく、自分のスキルを最大限に活かしたサイトを作れるでしょう。
しかし、(弊社のような分業制の場合)やはり最善は「餅は餅屋」で、広く浅くよりも、それぞれが自分のポジションに対して徹底的にスペシャリストになることが大切だと僕は考えています。
とはいえ外国語が喋れなければ外国人とはコミュニケーションが取れないのと同じように、相手の仕事、作業内容、文化がわからなければ意思の疎通に苦労するという現実は往々にしてあります。
なので、相手の言葉や文化に触れることで相手が何を言っているのか?何を望んでいるのかを受け取れるようになるし、こちらの思いを伝えることが出来る様になると思います。
弊社ではサイトを制作することよりも、サイトを使っていかに企業の売り上げに貢献するかに重きを置いています。
ただデザインし、HTMLやCSS、JavaScriptやPHPを使ってサイトを組むだけでではなく、その先のサイトスピードや構造化のようなSEOやサイト運営に力を入れています。
ですがそういう「サイトを作った先」に重きをおいているコーダーやデザイナーというのは少ないのではないかと思います。
Webデザイナーの学校などでもIllustratorやPhotoshopでのデザイン、HTMLやCSSでのコーディング、あらゆる言語のプログラミングを教える所は多いですが、SEOや高速化、サイト運営を教えている所はほとんどありません。
たとえばデザイナーは「かっこいいサイトをデザインしたい!」「クライアントの世界観を可視化したい!」と考えてデザインする人がほとんどだと思います。
それが当然ですし、それを具現化するために日夜デザインを勉強し、引き出しを増やしているはずです。
ですが「どうすれば見た目もリッチでスピードも稼げるだろう」と考えてコンテンツデザインやアニメーション、Webフォントの使用を検討しているデザイナーは少ないのではないでしょうか。
コーダーであれば「綺麗なコードを書きたい」、プログラマーであれば「簡潔でバグのない綺麗なコードで使いやすいUIを」と考える人が多いと思います。
それが技術職として当然ですし、それが自身のスキル表現にもつながります。
そういうところが好きで自分もコードを書いているわけですが、SEOや高速化、サイトの運営というのは「自分の管轄ではない」と思っている人が多いのではないでしょうか?
ですが、サイトスピード(高速化)などにおいては、SEO対応の前の、コーディングやプログラミングより前の、デザインより前の、ワイヤーの時点から対応ははじめなければいけません。
よくあるのが、クライアントからの「メインは横100%の大きな画像をスライドさせてカッコよく」「企業紹介動画を作ったからYouTubeで埋め込みたい」「Facebookもやっているからタイムラインを埋め込みたい」等々、盛り沢山の意向を実現するために、デザインしコーディングして、サイトが出来あがったら、「サイトスピードが点数悪いからもっと早くして」と言われることが多々あります。
目標の点数にもよりますが、そこから高速に持っていくのは現実的ではありません。
「だったらFacebookとYouTubeは埋め込まずにリンクにしませんか?」という話になり、根本的な設計部分にテコ入れが入ってしまいます。
他にも「日本語のWebフォントが重いのでデバイスフォントに変えませんか?」という話になればデザイナーのこだわりも削られますし、「このアニメーションやプラグインが重いのでこの実装やめましょう」となるとコーディングもやり直しになります。
こういう問題は営業、ディレクター、デザイナー、マークアップのそれぞれが「サイトを作った先」を管轄外と思っていることに起因していると思います。
全員がそこを見据えて制作していればもっとバランスのいいサイトをゴールにできたのではないでしょうか?
それを実現するにはどうしても(特に弊社にとっては)全員がサイトの運営や改善の知識も知っておいた方がいいとなってくるわけです。
もちろんすべては難しいでしょう。ですので概念だけでもいいと思います。
そういう共通の目標に向かうために必要な知識や技術を共有しておくことで、お互いの言葉を理解し合い、よりチームが一丸となれるのではないでしょうか。
「より専門分野のプロになるために、他分野の知識も得る必要がある」という一見矛盾にも思える広く浅くとのバランス問題はどうしても発生してしまいます。
そして制作者の思う「いいサイト」とクライアントの思う「いいサイト」が必ずしもイコールにならないという問題もあります。
デザイナーが「かっこいいデザインができた!」と思うサイトや、コーダーが「アニメーションがリッチで弊社の技術力も出せている」と思ったサイトが「いいサイト」と、技術者は思う反面、実際にお金を払って制作を依頼するクライアントにとっては、かっこいいサイトを作ることがゴールではなく「集客が増えることがゴール」となってくるので「いいサイト = 集客があるサイト」となり、極論を言えば「ダサくても売り上げが上がればいいサイト」となります。
そういう技術者の葛藤も、制作と運営の衝突ポイントになっている会社も多いのではないでしょうか?
ですがそういうところも、お互いが会社として「サイトにもっとも求めるもの」を確認しあうことで、それぞれの「いいとこ取り」をして、トータルバランスの取れたサイトの制作に繋がっていくのではないかと思います。
というわけで、より広い視野でコーディングを出来るようになるために解析士の勉強をしてみようと思います。