株式会社リクトでWebディレクターをやっております、古川です。
株式会社サービシンクの名村さんによるWebディレクター育成研修を受講してまいりました。
この場を借りて、まずはお疲れさまでした&ありがとうございました!とお礼にかえさせていただきます。
10月から11月にかけて土曜日に開催され、10時から17時を定時として5日間の研修という長丁場です。
研修時間としては本来17時までなのですが、名村さんのご好意により”放課後”と称して質問会の時間を1時間~長い時で2時間以上も居残り、参加者の質疑へ対応してくださりました。
放課後までの時間を定時としていました。
ネタバレにならない範囲でどんなことが学べたのか自身の感想を中心にまとめて行きたいと思い記事化します。
長くなりますが、今後名村さんのセミナーや研修を受講しようか迷っている方の参考になれば幸いです。
目次
参加直後の率直な感想
なぜ受講を決めたのか
初日まとめ
初日の流れ
名村さんの情報インプット方法と莫大な量
トレンドのようなものは、SNSから
初日は軽い準備体操とかではない!初めから濃ゆい!
心に染みた名村さんのお言葉初日3選
「ディレクターは、作り手側の楽な作業でなくエンドユーザー側に寄り添うべき」
「能力不足によりクライアントへ提案できないのが辛い」
「誰でもやっていることをやっていたらディレクターとしての価値がない
誰もやっていないことを、自分はどうやったらできるかをやり続ける」
2日目まとめ
見ると観察するは違う
宿題
心に染みた名村さんのお言葉2日目3選
デザイナーやコーダーの今後は?
ダイの大冒険の魔法使いの例
Web業界というのはない、広告業界なんだ
3日目まとめ
宿題の答えをお互い持ち寄りブレストからのKJ法
各フェーズを切り分けて深堀り
心に染みた名村さんのお言葉3日目3選
臨機応変という言葉が結論の先送りとなっていないか?
デザイナーがみているから大丈夫は絶対ダメ。
困った時に○○さんに聞いたらいいよね、っていうWebディレクターになるように。
4日目まとめ
誰がどう見てもそうとしか受け取れない文書術
5日目まとめ
プレゼンコンペ発表から総評
思考法のフレームワーク
心に染みた名村さんのお言葉5日目3選
打ち合わせの相手が最悪に性格が悪い人だったら?を想定する
提案って相手にそうきたかとどう言わせるか
良い企画書とは?
まとめ
名村さんの口癖?
さいごに
参加直後の率直な感想
感想を一言にまとめると「大満足!」という一言です。
ただ情報量がかなり多いのも事実で、受講した時間だけでなく復習の時間をあえてとりながら、自分の言葉に噛み砕いたりする時間が少なからずとも必要だなと感じました。
私の場合は同僚2人と自分を併せて3人で同じ会社から受講していました。
1人で復習というよりは、各回終了後に1回目のアウトプットが即できるよう、その日感じたことや今後の業務にどういかせそうか、名村さんの意見に対する真意の考察などを話し合う時間をとりました。
受講中ではメモを一生懸命とることというよりかは、いかに記憶に定着させるかといった点でも頭を使ったといった印象です。
なぜ受講を決めたのか
「さまざまな立場・職種・年齢バラエティ豊かなメンバーが揃っての受講となりました。」
と名村さんが開始直後に言っていました。
私自身は現時点で6年間Webディレクターをやってきておりました。
受講者それぞれの立場で悩みや課題がバラバラだとは思いますが、私なりに受講前の状態で気になる点をまとめていました。
- 他社の行っている教育法・教育論
- スケジュールがずれた時ずれる前の対処法
- デザイナーへ任せたデザインはディレクターはどこまで口出しするのか
- ユーザーに対して必要なコンテンツ選定方法や基準
- Webディレクターとして重要なのは、今後も刻々と変わっていくWeb制作のフローにおいて「適切な手法」を生み出せる能力がわかると書いてあったのですが、適切な手法とは?
なぜ受講を決めたのかというと、自分のスキルアップもですが、中でも他社では後進のWebディレクターをどう育てているのかという点が気になった点でした。
初日まとめ
初日の流れ
名村さんの自己紹介、参加者全員の自己紹介、研修全体の流れの紹介が初日の前半にありました。
初日後半ではWebディレクターの概論と位置づけて、Webディレクターがやるべきこと、考えるべきことといった根源となるようなお話しでした。
名村さんの著書に”Webブランディングの入門教科書”があるのですが、セルフブランディングのために機会があれば本は書いたほうがいいそうです。
後々の研修の中で教えてもらった話しにつながるのですが、社内にではなく市場に自分のものさしを置くことによって自己成長・評価につながるからということでした。
名村さんの情報インプット方法と莫大な量
ちなみに下記が研修レジュメの見出し一覧です。
これを受けたのかと思い返すとすごいボリューム!
はじめてみたときには網羅性がありすぎて…絶句しました。
Webディレクターがつまづき、悩むようなことが全部盛りされています。
- Webディレクター概論
- ホームページ制作プロジェクトのあるべき姿について
- ジャーニーマップを元としたユーザーナビゲーション考察
- Webディレクターの必要性
- プロモーションとはなにか?
- Webプロデューサーにとってのプロモーションとは何か
- Webプロモーションの考え方とマーケティング
- プロモーションにおける最重要キーワード
- 問題解決の基本スキーム
- Webディレクターとしての必要性と心がけ
- 問題解決のための基本スキーム
- ワークフロー
- プロジェクトにおけるワークフロー
- 各フェーズの構成と各行程の流れ
- Webディレクターとしてのあるべきワークフロー論
- プロジェクトの進め方
- プロジェクトの準備
- 組織とスタッフィング
- 誰がどう見てもそうとしか受け取れない文書術
- 情報共有とプロジェクトルール
- デザイン
- WebデザインとWebサイトのビジュアルデザイン
- ユーザーナビゲーション
- ユーザーインターフェースとユーザ体験
- システム
- システム開発ワークフロー
- Webアプリケーションの基本
- システム開発にけるTips
- ワークショップ
それぞれに答えを持ち、人に教えることができる名村さんの脳みそは自分のと構造が違うのではないかと思い嫉妬さえいだきます。
新しい情報や知識、スキルは、
認知→理解→実行→可能→(他者への)教育
こんな感じで身につき教えれるようになっていくはずなので、先程のボリュームを全て教えれる名村さんは相当な量のインプットが入っているはずです。
名村さんの日々のインプットは複数社の新聞、ボイシーやポッドキャストなど音声配信サービス、月に10冊の本(+息抜きに漫画50冊ほど)を必ず読むそうです。
”日本や世界の経済を追う”といった情報アンテナを張る、ことによって経済情勢がどのようになっているか知っておくと、ビジネス上でどこでどういった会話になるかわからないことに備えていました。
「業界の収益構造を考えた事あるか、収益構造を考えろ」
風が吹けば桶屋が儲かる、というような発想ができるようになるというのが名村さんの教えです。
Webディレクターだからではなく、ビジネスパーソンとして必要なインプットかもしれません。
トレンドのようなものは、SNSから
最近だと広告が増えたためFacebookのタイムラインを追いかける機会は減ったそうですが、あとはTwitter。
Twitterもミュート機能を使い、情報収集を効率化しているとのことでした。
たくさんのフォロワーのタイムライン全てみることは不可能なので、やり方はとても参考になります。
莫大なインプットを数年継続していると聞いて名村さんの話しの引き出しの多さや提案力につながっているんだなと納得しました。
初日は軽い準備体操とかではない!初めから濃ゆい!
初日は主にWebディレクターの前にWebってこう、ビジネスってこう、Webディレクターってこうだよね、だからどうあるべきじゃない?といった点を名村さんからお話しいただきました。
Webディレクターの核心的な本質を掴んだお話しでした。
まだこのときは、「知識の深堀りができた、いい研修だ!」ってくらいに考えていました。
しかし、4日目5日目にあったワークショップにて私の経験則からの自信は一度粉々にされます。
受講後に改めて考えると初日のこのあたりの話しが前フリとなっていて、この概論からしっかり学んでいこうね、という話しが今頃になってまた心に染みてきます。
概論ということで基本的なことだった印象ですが、私の頭の中でグラデーションがかかっていたところの輪郭をはっきり理解できました。
打ち合わせ時にも自信をもって話せる、提案できる引き出しが増やせると思いました。
心に染みた名村さんのお言葉初日3選
研修中にあった話の断片的な内容なので、読んでいただく方に名村さんの真意が伝わるか不安ですが、現時点での私に響いた初日に感銘を受けた言葉たちをまとめておきます。
「ディレクターは、作り手側の楽な作業でなくエンドユーザー側に寄り添うべき」
制作側の開発者が大変だから仕様としてはこっちでいいよね、って妥協案みたいなことってたまに遭遇します。
ただし、それはエンドユーザーの使い勝手が変わらないという条件下のときだけで、基本はエンドユーザーはどちらの方が使いやすいのか?を考えるべきだということです。
「能力不足によりクライアントへ提案できないのが辛い」
莫大なインプット量と、超絶シンプルに伝わりやすいように情報を噛み砕きアウトプットし続けている名村さんが提案できないのは辛いと考えています。
提案できないのは自分の能力不足だと名村さんですら思っているのです。
「インプット量→アウトプットの数」は自分も負けてられないと思いました。
「誰でもやっていることをやっていたらディレクターとしての価値がない
誰もやっていないことを、自分はどうやったらできるかをやり続ける」
市場原理で簡単に稼げる!みたいなことは価値がなくなるので、簡単なことしかできない人は必要とされなくなっていくというのが本質です。
ではWebディレクターとしては?というのを考えさせられました。
2日目まとめ
見ると観察するは違う
1日目は少し時間がおしたのもあり2日目もWebディレクターとしての心がけといった内容は少し続きました。
この日の主な内容は、具体的なスキルの考え方や実務への取り入れ方の深堀りです。
コミュニケーション能力、プロジェクトマネジメント、ヒアリングの重要性、クリティカル・シンキング、問題解決能力、プロジェクト憲章。
中でもWebディレクターにとって必要なスキル、という枠の中でアブダクションという言葉がでてきて強く心に残りました。
アブダクションを簡単に説明すると”見ると観察の違い”からくる論理的推論や仮説的推論のこと。
初めてきいた言葉だったのもあり興味深く聞いていましたらシャーロック・ホームズを読んだときにピンときていたそうです。
過去に私も読んだことある本なのですが、まったくピンときていない。
毎日登る階段が何段か知っていますか?
答えられる人と答えられない人の違いがそのまま、見て登っているだけの人と観察して登っている人の違いです。
宿題
自由な発送のもと、ブレストとKJ法を体験するために宿題が出されました。
お題はあえて伏せますが、考えること自体が楽しい課題でした。
ただ数を揃えようと思うと自分の考え方の枠を一度取っ払うような思考をしないとクリアできない、個人的には超難問でした!
心に染みた名村さんのお言葉2日目3選
デザイナーやコーダーの今後は?
いろんな記事で触れていることもありますが、名村さんとしてはこうなっていないと厳しい、厳しくなっていくという見解を話してくれました。
でも本質は初日の”どこにでもいるディレクター”にならないことと同じで、
- どこにでもいるデザイナー
- どこにでもいるコーダー
にならないことが重要!
ダイの大冒険の魔法使いの例
魔法使いの名前はポップでしたっけ。
彼が師匠に言われた言葉はディレクターにもあてはまるという
「パニックになった時は魔法使いが一番冷静でないといけない」
小学生時代の記憶では、たしかこんな感じのセリフだったのですが、
「現場がパニックになった時はディレクターが一番冷静でないといけない」
に置き換えて対処しましょう。
Web業界というのはない、広告業界なんだ
捉え方でこれほど景色が変わるんだと思った言葉でした。
ぼんやりWeb業界ってなんぞやって考えたことありましたが、ここまで明確にわかりやすく伝えてもらえ、確かに!と腹落ちしました。
3日目まとめ
宿題の答えをお互い持ち寄りブレストからのKJ法
宿題で参加者の皆さんが個人それぞれで考えた案を持ち寄り、指定されたグループに分かれて案を合算
↓
ボリュームのある案の中から絞り込む手法
をワークショップ形式で体系的に学べます。
各フェーズを切り分けて深堀り
ディレクターが関わる仕事領域を大きく6つのフェーズにきりわけてひとつひとつ丁寧に解説していただきました。
リクトの場合だと、専門性を上げるためにWebディレクターの領域が2から4に絞られていることから自分の領域って市場だとこういうものかと知らされました。
制作段階の前のフェーズ1が考えられるディレクターにはなっていきたいと前から思っていたので、いい機会となりました。
心に染みた名村さんのお言葉3日目3選
臨機応変という言葉が結論の先送りとなっていないか?
思い当たるフシがありすぎて、常々自問自答しようと思いました。
例えば、
「今ここに入れる文言を決めなくても大丈夫!後で修正できるから!」
といったようなことがあったとして、本質はただの後回しだということ、臨機応変という都合のいい言葉に並び替え進めてしまっているときもあり、誰得?と思い直しました。
デザイナーがみているから大丈夫は絶対ダメ。
事が起きると、ディレクターが最後にみていないと伝わってしまいます。
Webディレクター初めたての頃は、締切に間に合わせるため、「デザイナー確認しているし大丈夫か」と思って提出したことがあります。
さかのぼって当時の自分を叱ってやりたいです。
困った時に○○さんに聞いたらいいよね、っていうWebディレクターになるように。
名村さんの例でいうと、
Webのことなら名村さんに!
↓
不動産のWebのことなら名村さんに!
Webのことなら古川に!と言われるようにまずは目指します。
自分で言うのではなく、人に言われるようになるまでやっていきます!
4日目まとめ
4日目前半では、コスト感の重要性についてお話がありました。
あくまでも経営者でありながら現役ディレクターとしての名村さんの話はリアリティがあり、非常にためになります。
作業時間5分で終わる修正があったとします。
では見積もりも作業工数5分で提出してもいいのか?という話しを理由とともにお伝えいただきました。
作業時間+作業内容把握の時間+ディレクターが依頼する時間
ディレクターの確認時間+テスト時間
もし移動があれば移動時間
これらの総数が5分かどうかと考えられる意識が必要です。
誰がどう見てもそうとしか受け取れない文書術
名村さんが同じ名称で単体でセミナーもやられています。
これだけでも受ける価値があります。
わかりやすい文書自体は仕事力とイコールになります。
わかりやすい文書が書けるということは仕事ができる人になれると同義なのです。
コスト感の話にも繋がりますが、メールでもチャットでも無駄な1往復を減らそうというものも話しがありました。
ダメな例としては、
- 誤解を招く
- 補足説明が必要
- 相手が聞き直す
- 後で見た人が意味不明
- 後で読んだ自分も意味不明
では、どんな文書がいいの?といのが事例を交えながら学べます。
根本部分では、相手への思いやりが欠如していないかという点で集約されます。
仕事に関わらず、相手の時間を考えている人とそうじゃない人っていますよね。
練習すれば身につくし、一生使えるスキルとして文書術はディレクターでなくとも学ぶべきだと思いました。
ワークショップ
2週にわたってのワークショップ名村さんがクライアントとして、受講者は班分けして制作会社となり、合同ヒアリング会を1時間行う
↓
次週の14時をメドに企画書、スケジュール表をつくり合同プレゼンコンペを発表形式で行う
という流れで4日目と5日目は2週連続ワークショップでした。
既に教わったことも含めて、人に伝えるプレゼン力、コンペで選ばれる企画力、情報を整理整頓するためにヒアリング力、チームワークを生む為のコミュニケーション力、さまざまなスキルをフル稼働させて臨みます。
各チーム平日に集まったりと進め方もそれぞれだったようです。
リクトから3人受講していて全員別チームだったので後日談でどんな進め方をしていた、どれくらい時間を割いたなど聞いたりするのもいい経験となりました。
5日目まとめ
プレゼンコンペ発表から総評
先週に引き続きワークショップのプレゼンコンペ発表がありました。
3チームのプレゼン中に思ったのですが、プレゼン直後にフィードバックをひとりひとり個人に詳しく行っていたので驚きました。
記憶にとどめているのか、メモをとってあるのか、メモの取り方を知りたくなりました。
メモをとるためのルールというかありましたら教えてほしいですね。
思考法のフレームワーク
フレームワークはつかったことはありますが、思考の癖や話し方の癖はどうしてもあるものです。
それを補うためのフレームワークという考え方がそもそもできていませんでした。
頭の中で整理できているからOKではなく、自分の癖を出しすぎないために枠へあえて書き出したりは必要だと感じました。
心に染みた名村さんのお言葉5日目3選
打ち合わせの相手が最悪に性格が悪い人だったら?を想定する
準備は最も悲観的に、本番は最も楽観的に。
ということで、準備は結構しているつもりだったのですがどこに照準をあわせるかを変えてやってみます。
提案って相手に「そうきたか」とどう言わせるか
「そうだよね」を超える「そうきたか」
デザイン提案以外でほぼ言われたことないので、小さな提案からそうきたかを目指してみます。
良い企画書とは?
「通る企画書」プレゼン資料など準備中に全く意識していませんでした。通るかどうかという視点が大切とすら思ってもいなかったので目からウロコでした。
まとめ
リクトでは成果物に対して担当したディレクターへ属人化しすぎず、成果物に対するクオリティの担保としてディレクションガイドラインというものを設けております。
このディレクションガイドラインにもどんどん取り込んで反映させていきたいと思います。
名村さんの口癖?
名村さんの口から何度も出てきたフレーズがあり、口癖なのかなと思ったのが「クライアントがやっているのは商売」という言葉。
商売なので売上をあげて成功。
成功をさせるための伴走者という位置づけの業種がWebディレクター!ということではないでしょうか。
さいごに
Webディレクターってこうだよね、こうあるべきだよね、こんな視点で考えたことないなら一度考えようね、といったことを中心に、Webディレクターにまつわる全てが学べると言っては過言ではない、Webディレクター研修。
リクトではデザイナーも受講しましたが、Webディレクターでなくても受講する意味があります。
リクト社内でも満足度はかなり高いですので、迷っておられるのであれば次回は是非参加されてみてください。