2022年5月1日日曜日、杉浦非水展に行ってきました。
杉浦非水さんのことはまったく知らなかったのですが、日本で最初のグラフィックデザイナーであることや身近なデパート三越のポスターや看板を手がけているということで明治、大正、昭和という時代の広告がどのようなデザインだったのか楽しみで見に行ってきました。
大正ロマンのようなテイストが好きだとか私自身こだわりがあって見に行ったわけではないですが、非常に色合いが綺麗で作品に引き込まれ感動しました。
日本のグラフィックデザイナーの原点ってどういうものだろう。
行ってみようかなくらいの感覚で行ったのですが、途中からこのような色使いがあるんだ!と感銘を受けメモをとりながら見ました。
しかしメモと記憶では限界があったので、手元にほしいな、と思って画集を買いました。
美術館に行って画集を買おうと思ったのは初めてのことです。
そんな画集を手に数あるデザインの中で私がいいなと思った配色を紹介したいと思います。
これまでも色相環を使ったブログを書かせていただいたのですが、今回も色相環をもとに説明していきたいと思います。
今回紹介したいのは「対照色相配色」についてです。
杉浦非水展では、くすんだ色(ダルトーン)が多かったです。
下のトーン図で、「d」と書いてある部分がダルトーンにあたります。
主に中間色をベースにしたデザインが多かったです。
参考サイトでも書かれていたように、大正時代(大正10〜15年)の流行色であったようです。
対照色相配色とは
対照色相とは、対照の色のことですが真逆の(正反対の)色のことではありません。
わたしも勘違いしていたのですが、真逆の色は「補色色相配色」といってこちらの配色は時にハレーションを起こしたり、デメリットにもなりうる配色にもなります。
今回ご紹介する「対照色相配色」は、ひとつ決めた色から対角線上に向かい合う色から左右に2〜4ずらした色との組み合わせの配色のことを指します。
※「補色色相配色」は色彩検定3級の教科書に出てきます。
では色相環で具体的に見ていきましょう。
著作権的にも作品をそのまま上げるわけにはいかないので、私がオブジェクトを使って真似したものに色をのせて説明していきたいと思います。
色相環に番号がついてるのは、対角線上の色から数えて2番目、3番目、4番目の色という意味です。
例1 オレンジ:青
オレンジの反対の色は緑ですが、左右に2〜4ずらした色は、右周りですと黄緑に近い緑、左回りですと青、紫に近い青になります。
デザインでは、くすんだオレンジと青の配色でセパレーションに白を使っていました。
例2 緑:ピンク
こちらのデザインは、くすんだ緑とピンクの配色を使っていました。
ちなみに緑と黄土色(黄色のくすんだ色)は近似色です。
非水さんのデザインは、大胆に黒を使う場面が多く、かっこいいなと思います。
こちらのデザインも同じ配色で、黄緑とピンクの配色が素敵だなと思います。
女性が配置されている三越の広告ですが、目もとや鼻筋がそれぞれピンクと黄緑で描かれていて美しかったです。
画集の表紙に載っている女性です。
こちらのデザインの実物は、背景が黒ですが、暗いイメージではなく素敵でした。
ピンクのコウモリと森の木。
例2 青:赤
ダークな青(紺色)にダークな赤です。
縁取りにこの赤を持ってくる意外性に目を惹きつけられました。
黄緑と黄色(黄土色)は近似色ですね。
番外編
近似色もたくさん使われていました。
茶色(オレンジ)と黄色。緑と紺(青)。
どちらも色相環で隣り合わせの色ですが、明度を大きく変えたり黒を思い切り引いたり、メリハリのある配色に心奪われるばかりでした!
今回ご紹介したものは、実際の絵を載せられないということで、簡単なオブジェクトで真似をして色を載せたのですが、抽象的でざっくりすぎるのですが画像を作ってみてとても良かったです。
美術館では、〇〇と〇〇・・・と最初は文字でメモしていたのですが、実際に手を動かしてみて色相環に合わせて色を乗せてみてなるほどな!と、とても勉強になりました。
美術館にいく際は、いろいろな視点でみると面白いと思います。