「私とは何か」読んだ印象を社内共有

■本の情報

私とは何か 「個人」から「分人」へ

この本を選んだ理由

著者平野氏のメインである小説については、内容が難しいとか長いといったイメージがあるので最後まで読めた試しがないのですが、それ以外の彼の著書から私は大きな影響を受けています。
とくにこの本は、読んだ当時のインパクトがいまだ薄れていません。

今回の記事作成にあたり、書く前にもう一度読み返そうかとも考えたのですが、あえてそうしないことで、タイムリーとは呼べないちょっと変わった感じの読書発表になった気がしています。

考えを深めた貴重な一冊

今まで一人の人間は「個人」と呼ばれ、それ以上に細かくはできないという認識が世界的にあったようです。

でも平野氏はそこに分人(ぶんじん)という概念を取り入れ、「個人」というものを、もうひと段階細分化しようと本書で試みています。

「自分探しの旅」

二十歳前後の私もそうだったと思いますが、実は本当の自分というものがどこかに存在していて、非日常の世界に足を踏み入れることで、まだ見ぬ本当の自分と出会い急激な成長を果たすかもしれないといった期待感を多くの人は持っていたりするものです。

でもたとえば、しばらくの間ひとりで世界旅行をして帰ってきた人がいたとして、「いや~、本当の自分に出会っちゃってさぁ」なんて言っていたらどうでしょう。
私は失笑するか、海外でヘンな病気でももらってきたのだろうなくらいにしか捉えないと思います。

平野氏は本書の中で、たった一人の本当の自分がいるのではなく、何人かの「分人」の集合体が、結果自分というものを形作っているのではないかと主張しているのです。

「分人」という言葉を、私を使って説明します。

私は男であり、夫であり、父親です。
仕事をしている時は一人の男として、女性社員にええ顔しながら業務が滞りなく進むよう振る舞っています。

仕事から帰ると今度は夫として、妻の一日あったことをフムフムと頷きながら程よく聞き流すことで、夫婦間が滞りなく進むよう振る舞います。

そしてご飯時になれば今度は父親として、子どもの最高の笑顔を見るために一生懸命あれやこれやと振る舞うに違いありません。

ここだけ見ても、私は3つのタイプの人間を生きている(演じている)ことがわかります。
女性社員、妻、子どもの三者に対し私がまったく同じ態度で接するということは不自然であり、まず考え難い。
つまり私は、3人の「分人」によって作られた集合体ということになります。

とここで急に質問を受けました。
「で結局、どの相手といるときが本当のアナタなのですか?」

私は答えることができません。そして胸の内で、きっとこう思うでしょう。
「どれも俺やし……」

好きな分人を生きればいい

「Aさんといるときの自分は好きだけど、Bさんといるときの自分は何だか嫌い」 私を含め、この記事を読んでいるみなさんに当てはまる感情です。

社会人である以上、自分の好きな分人だけを生きることは叶いませんが、それでもたった2,3人、日々の生活に好きな分人がいてくれたとしたら、そこを拠り所に楽しく生きていける気が私はしています。

TEDという世界的な講演会で、分人について平野氏本人がわかりやすく説明しています。興味のある方はこちらをぜひご覧ください。

平野敬一郎氏 TEDの動画 自己を愛するために他人を愛しなさい

本日の担当は児島でした。

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